荒木経惟「日本人ノ顔」プロジェクトの趣旨

荒木経惟「日本人ノ顔」プロジェクトは、全国47都道府県すべての地域に暮らす人びとを撮影し、総計数万人の日本人の肖像を記録しようとするわが国初の試みです。言うまでもありませんが、ここで言う「日本人ノ顔」とは国籍や人種に関係なく、日本列島に暮らすすべての人びとという意味です。

それぞれの地域の風土や歴史等を体現している人びとの肖像を、アラーキーこと荒木経惟が「日本人ノ顔」として撮影します。そして、撮影したすべての人の肖像写真を収録した写真集を発行するとともに、撮影地で写真展を開催します。

このプロジェクトは、ドイツの写真家アウグスト・ザンダーが第二次世界大戦の直前に試みて未完に終わった「20世紀の人間たち」の意図に通じるものでもありますが、日本が世界に誇る写真家荒木経惟が全力をつくし挑戦する試みであり、完成すれば世界にも類を見ない大事業になることは疑う余地がありません。

人びとの誇りと元気をとりもどし、後世への貴重な“財産”を残したいというのが、このプロジェクトの願いです。

20世紀を生きてきた人びとの「顔」を記録することは、20世紀の日本のすべてを映し出すことになるはずですし、21世紀に生きる人びとを写し撮ることにほかなりません。
それは現代日本の貴重な記録として後世の貴重な史料にもなるでしょう。

荒木経惟「日本人ノ顔」プロジェクト
代表 和多田進